月と六ペンス [読書]
この装丁の本を見たのはもうずいぶん前になる。
このほどようやく読み終えた。
ゴーギャンをモデルに書かれたことで知られているが、目に見えない芸術というものの本質に
迫る面白い本だった。
秘密諜報部員だったモームらしく、ある作家がストリックランドという人物を追いかけていく構成
がサスペンスのようで、話にぐいぐい引き込まれていった。
そして、人間とはかくも不可解なものだ、ということをストリックランドだけではなく周りのユニーク
な登場人物たちも感じさせてくれた。
中でも、からっきし下手な絵を描いている画家で、ストリックランドの才能を信じて疑わず、つい
には妻を取られてしまう男は秀逸だった。おかしくて哀しい。「アマデウス」のサリエリに通じる
ものがあった。
月は幻想、六ペンスは現実を現わしている。
何もかも棄ててパリへ行ったストリックランドはこう言う
「おれはただ、描きたいんだ」
そして最後の作品をタヒチで描き上げ、死んでいく。
2006-09-16 17:49
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