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黒沢明監督の本 [読書]

 

黒澤明vs.ハリウッド―『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて

  • 作者: 田草川 弘
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本
黒澤明と「七人の侍」

黒澤明と「七人の侍」

  • 作者: 都築 政昭
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 文庫

この2冊を続けて読むと、巨匠クロサワの絶頂と挫折が、まさに光と影の如くに感じられた。

クロサワは、撮影中は映画の中の登場人物になりきっていたそうだが、「トラ!トラ!トラ!」

の撮影中の彼は、シェークスピアの「リヤ王」か、はたまた、何が真実なのかわからない

「羅生門」の世界の登場人物のようだ。

さまざまな要素が絡み合って、クロサワは「トラ!トラ!トラ!」の日本側監督から解任される。

しかし、彼は映画全体の総監督だと思い込んでいた。そこに悲劇の始まりがあった。

いったん狂った歯車は、いくらクロサワといえども修正することが出来ない。

ハリウッド映画という巨大なビジネスの中では、大監督もただの職人の一人に過ぎない。

そういった、様々なトラブルの荒波の中で、理想の映画をつくるために情熱を燃やしたクロサワ

は、風車に立ち向っていったドン・キホーテのようだ。

そして流れる歌は「見果てぬ夢」か・・・・・・。

「七人の侍」を作った頃の、映画が、そして日本が幸福だった時代

一人の偉大な芸術家の評価は、時代とともに移り変わるが、そんなことはどうでも良かった。

誰よりも映画を愛し、死ぬまで映画を作りたかったんだろうなあ。

「七人の侍」という奇跡の映画を、我々は日本の財産として監督に残してもらった。

七人の侍

七人の侍

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2002/10/25
  • メディア: DVD


nice!(1)  コメント(4) 
共通テーマ:日記・雑感

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コメント 4

toro

七人の侍も好きですが、「椿三十郎」がなぜか大好きなんですよ。
小気味いいというのかな。三船の面白さ、かっこよさがよく感じられた
映画でした。
やはりクロサワは偉大です。
by toro (2007-01-25 20:09) 

kaz-i

>toroさま
有難うございます。
「椿三十郎」いいですよね。
三船の三十郎に比べたら、加山雄三たち若侍たちの頼りないこと。
めんどくさそうに相談に乗ってやる三十郎と、正義感は強いものの
思慮の浅い若者たちとの対比が、面白かったですね。
小林桂樹、加東大介、志村喬、藤原釜足、入江たか子、団令子、
伊藤雄之助、仲代達矢などの助演陣も素晴らしかった。
椿の使い方もうまい!
胸がワクワして、スカッとして楽しい映画でした。
三船敏郎は、私の中での映画界の最大のヒーローです。
by kaz-i (2007-01-26 10:22) 

呑亀

日本映画の黄金時代、中でも黒澤明は面白いわくわくさせる映画をつくり続けた。また取り巻く役者達もよかった。日本は戦後復興のさなかエネルギッシュな生身の人間達がうごめいていた。大衆は銀幕にしばし時を忘れのめり込んだのだろう。いまそんな映画があるだろうか。そんな大衆がいるのだろうか。
by 呑亀 (2007-01-26 16:20) 

kaz-i

>呑亀さま
かつて「作品」という側面を持っていた映画が、多額の宣伝費をかけ、
商品として消費されることが多くなりました。
昔は、今日は映画が見られるんだ!見るぞ!と気合を入れて見に行った
ものが、気安く見られることはいいことであり、娯楽には変わりないでしょうが、いつまでも心に残る新しい作品と出会いたいと、切に思います。
by kaz-i (2007-01-27 10:39) 

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