ザ・パシフィック [雑文]
9.11.
あれから9年。
何かが変わったのか。変わらなかったのか。
日本のテレビではある戦場カメラマンが最近もてはやされているが、
その口調ばかりを取り上げ、話し方や人柄が変わっているとみんなで笑い、
戦場の話になると出演者は神妙なふりをして聞き、なんだかよくわからない
バランスをとる。
同時多発テロのことなどは、話題にもならない。
テレビのバラエティー番組など見なければいいのだが・・・・・・。
WOWWOWで放送されている「ザ・パシフィック」というドラマを最近見ている。
スピルバーグとトム・ハンクスが製作しているテレビドラマシリーズだが、スケールは
映画と変わらない。
舞台は大平洋戦線。
ガダルカナル、グロスター岬、ペリリュー島、硫黄島、そして沖縄でのアメリカ側から見た
戦闘を描いている。
この戦争は、なぜ起こったのか。なんのために戦うのか。そういうことは一切描かれない。
誰のために戦うかではなく、生きるか死ぬか、殺すか殺されるかしかない。
そして、敵も味方も何万何千という人間たちが傷つき、死んでいく。
殺されるとわかっているのに、突撃してくる日本人は勇敢なのかバカなのか、
と一人の兵士がうんざりして言う。
隣の兵士が「おれたちが憎いのかも・・・・・・」とつぶやく。
なぜ降伏しないんだ。
戦争っていったい何なんだ。ただの殺戮、虐殺にすぎないのではないか。
実話に基づくこのドラマは、激しい戦闘をリアルに描きながら、次第に人間性を失っていく
若い兵士たちの内面に迫っていく。
そして日本軍もアメリカ軍も、兵士たちが次々と死んでいく。このドラマの製作陣が、ものすごい予算で、戦場を再現していった、狂気にも
似たこの作品作りは、戦争の愚かさ、無意味さ、非人間性を表現するのに
必要不可欠だったのであろう。
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