被爆者たちの声を聞け。

イギリスの公共放送・ＢＢＣが、コメディー番組の中で、広島と長崎の両方で

原爆の被害に遭った被爆者の男性を「世界一不運な男」などと取り上げ、

ロンドンの日本大使館が抗議していた問題で、ＢＢＣは２１日、声明を出し、

「日本の方の気分を害し、申し訳ない」と謝罪しました。

この問題は、ＢＢＣの人気コメディー番組「ＱＩ」が先月１７日の放送の中で、

広島と長崎で２度、原爆の被害に遭い、去年１月に亡くなった長崎市の被爆者、

山口彊さんのことを「世界一運の悪い男」などと、冗談を交えながら取り上げた

ものです。ロンドンの日本大使館は、今月、ＢＢＣと番組の制作会社に対して、

「日本国民の感情への配慮を欠いている」などとする抗議の書簡を送っていました。

この問題では、番組のプロデューサーが書面で「不快な思いをさせたことを

極めて遺憾に思う」などと表明しましたが、ＢＢＣは２１日、制作会社と連名で

声明を出し、「日本の方の気分を害し、申し訳ない」と述べて謝罪しました。

そのうえで、「番組には、人々の気分を損ねたり、取り上げたテーマを侮辱する

意図は決してないが、日本人にとっていかに敏感なテーマであるかを考えれば、

内容が不適切だと受け取られた理由は理解している」と述べ、配慮が欠けていた

という見解を示しました。

ＢＢＣは日本大使館に対し、近く書簡を送るとしています。

1月22日 5時38分　NHKニュースより

「笑い」というものは、本来権力に面と向かって発言できない弱者が、

言葉をオブラートに包みながら偉い人や冷たい世の中をおちょくり、

どっこいおれたちも生きているという人間宣言のような側面があるのでは

なかったか。

そして、日常に疲れた人たちの心を癒す、何よりの薬ではなかったか。

ＢＢＣのこの番組のことを聞き、先日見た、立川談志のドキュメンタリー

「71歳の反逆児」（2007年制作）を思い出した。

そのなかで、談志がとある高座で人情話のクライマックスの時に、お客さんの

意外な反応に思わず「･･･（この場面って）そんなに面白い？（笑うとこ？）」と

言ってしまった場面。

昨年亡くなった、つかこうへいもかつて同じようなことを言っていた。

最近のお客は、みんな芝居を見に来ているのではなく、「笑うため来ているのだ」

と。

我が尊敬する「王貞治」の顔を、ウォシュレットに見立てて、悪ふざけをした

番組もあった。

現代日本はスピードや収益だけが尊ばれる、世の中になり下がってしまった。

言葉の意味も考えず、吟味もせずに、信号のように言葉をとらえている。

だから言葉が軽い。言葉の裏の意味など考えない、わからない人が増えた。

説明ばかりが求められる。

マニュアルなんてないのだ。一寸先は闇だ。

シェークスピアというイギリスの偉大な劇作家は、喜怒哀楽をちりばめ

ながら、壮大なドラマの中に見事に人間たちを描いてきたではないか。

ＢＢＣはそれを忘れたのか。

人間に対する尊敬を忘れたとき、人は人でなくなる。

 

石は黙ってものを言ふ

直（じ）かに心にものを言ふ

堀口大学「石」

　　

コメント 3

kaz-i様
日本は相当やばいところまで来ている。それが急速に。あらゆる場面で。１０年前の当たり前はもう通用しない。若者の仕事がないって、冗談じゃない。一流企業の窓口が少なくなっただけだ。最初から勝ち組に組しようったってそうはいかない。海外転勤厭だって言う若者が多いとか。もうこの国では権力に立ち向かい血を流す若者はいない。相撲の力士になる少年が減ったようにいろんなジャンルの選択を若者はしなくなり、安定を求めてしまう若者だらけになってしまった。芥川賞を取った４３歳のインタビューは面白かった。でも４３歳だ。
年の初めからぼやいていた。今年もよろしく。
by 呑亀 (2011-01-23 16:00) 

>呑亀様

御意！豊かさのつけが回ってきましたね。
いらないとは言いませんが、金なんかなくても
生きていけます。
格差、格差とは、何と何を比べての格差なのでしょうか。
誰が誰と比べているのでしょうか。
寒い日には寒い寒いと言い、暑くなったら暑い暑いと言う。
ああなんと人はわがままなのでしょう。自戒！

by kaz-i (2011-01-29 11:56) 

>皆さま

いつもありがとうございます！
まとめてすみません！
by kaz-i (2011-01-29 13:23)