祈りの詩集 [雑文]
亡き師匠が心から信頼を寄せていた、世田谷の聖アントニオ神学院の福田勤神父様。
何かにつけてはご相談させていただき、師匠と一緒に何度となく教会に足を運んだ。
カトリックの立場からだけではなく、信じることの強さ、人間としてのしなやかさ、宗教に
ついてなど、様々なことを身をもって教えていただいた。
まだ私の実になっていませんが・・・・・・。
神父様は10年以上も、ラジオ番組「心のともしび」に原稿を書いておられます。
それがまとめられて、一冊の本になっています。
その中の一篇。
「神さまが出発点」
コツ、コツ、コツ・・・・・・。深夜勤務の看護婦さんの靴音が、病状の悪化の不安の中で
眠れない私の孤独感を、さらに深めました。私は生来病弱で、たびたび入院生活を経験
しました。そんなとき、自分の病状がだれにも理解されていないという不安感と、社会から
取り残されている不安感におちいるのが常でした。病室が個室でないとしても、事情は同じ
でした。「東京砂漠」などということばがありますが、大都会の混雑の中にも孤独はあるよう
です。
ところが、先日、本棚を整理していて、『祈りの詩集』という一冊の詩集を見つけました。
それは、あるミッション・スクールの小学校五年生の女の子が、夏休みの宿題として書いた
ものでした。その可愛らしい詩集を読み返しているうちに、私はハッとしました。
「一人で悲しんだり、一人で喜んだりするのは、神様を忘れている時」
「朝顔の花が咲きました、どんな色を使っても出ない色、神様の美しい作品です」
「人のためにお祈りするのは大好きです、人も私のために祈っているのを感じるから」
この子にとっては、神さまの中で、世界中の人びとがお友達なのでしょう。
「私みたいなものを、神さまは信じて下さいました、私も強く強く神様を信じます」
この子にとって、信じる出発点は自分ではなく、神さまからはじまっています。私は入院中、
その神さまを忘れ、孤独におちいっていました。でも生活の出発点を神さまにしてからは、
深夜勤務の看護婦さんの靴音に、優しい励ましの心を感じるようになりました。
「今日は勉強が忙しすぎて、神様へのお電話がみじかくなりました、のろまな私のせいです」
「お忙しい神様、私も忙しかったのでデンポウにします」
自分を大切にしてはいけないのですか?―ほんとうの愛を生きるための88のことば
- 作者: 福田 勤
- 出版社/メーカー: サンパウロ
- 発売日: 2002/05
- メディア: 単行本
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