平櫛田中(ひらぐしでんちゅう) [雑文]
20年ほど前であろうか、平河町の国立劇場に初めて行ったとき、「国立」という名が付く
建物はどうしてかくも仰々しいのだろうかと、幾分否定的な思いをして中に入ったとたん、
入口に飾ってあるものを見て衝撃を受けた。
その巨大な像は、平櫛田中作「鏡獅子」
六代目菊五郎をモデルに、20年の歳月をかけて完成した2メートルの木彫彩色のその
像は、生意気な私の頭をがつんんんんん・・・・・!と叩いてくれた。
先日テレビで、平櫛田中が取り上げられていたので、そのときのことを思い出した。
極貧の中にあっても、「売れない物を作れ」という師、岡倉天心の教えを愚直に守り、
作り続けたその作品は、だからこそ圧倒的な迫力を持って迫ってくる。
「初心忘れるべからず、時々の初心忘るべからず」(世阿弥)
建物を作る人も、食べ物を作る人も、そして私たちも、ゆめゆめ忘れてはならない。
こんな凄い人がいたことを。こんな凄い作品があるということを!
人の仕事(あるいは人生)に対する志の高さを見たときに、私たちは感銘を受けたり打ちのめされたりします。いいものをご覧になったのですね。
by 呑亀 (2007-01-29 11:28)
>呑亀さま
相撲取りの彫刻にも力がみなぎっていて、素晴らしい物でした。
小平に平櫛田中彫刻美術館があるので、梅の咲くころに行きましょう!
http://www.city.kodaira.tokyo.jp/green/hirakusi.html
by kaz-i (2007-01-30 07:52)