9.11とロルカ [追悼]
5年前のあの日は、仕事が終わって家に帰り、夕食を食べたあと家人とテレビを見ていた。
NHKのニュースを見ようと、テレビのスイッチをつけたばかりだった。
いきなりアナウンサーが、ニューヨークのワールドトレードセンターに飛行機が衝突したらしい、
とのコメントを言って、画面には煙を出しているビルが映った。
どうしてこんなところに飛行機がぶつかるのだろうか?などと呑気に考えていたら、画面の右
のほう(だったように思う)から飛行機がすーっと入ってきて、ビルの中に吸い込まれていった
(ように見えた)
いま、いまたしかに飛行機がぶつかったよね!!と隣にいた家人に確認した。
これは、今起こっていることなのだ。これは現実なのだ。ということがだんだんわかって衝撃を
受けた。
私ごとであるが、9.11を遡ること2ヶ月前、2001年7月14日に自分の師匠を亡くしたばかりで
あったのだが、その師匠が書いたガルシア・ロルカを主人公にした戯曲の中で、
「ぼくにとって死は恐怖ではない。怖いのはテロだ!テロは怖い!」
アンドレ・マルローたち友人にロルカはこう叫んでいた。
スペイン人でカトリックでもあるロルカは、問答無用のテロを恐れ、憎んでいた。
その彼は、スペイン市民戦争のさなか、理由もはっきりしないまま銃殺された。
彼は一度ニューヨークに渡っている。
1930年代のニューヨークの摩天楼を見て、札束が飛び交っている街の中にある墓場のように
思い、キューバに渡って人間性を回復し、たくさんの詩を書いた。
師匠は、ロルカは、この事件を見てどう思うだろうか。まっさきにそう考えた。
そして、広島、長崎の原爆のことを考えた。
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