シネマスコーレで「靖国」を観る。 [映画]
仕事を終え、18時20分から上映している「靖国」を観に行った。
シネマスコーレという映画館は、名古屋駅の新幹線口からすぐのところ、
いわゆる「駅裏」にある小さな映画館だ。若松考二監督が立ち上げ、
26年前にオープンした。
中は50席くらいだが、「映画館っ!」という雰囲気があって、まわりの
飲み屋と見事に融合していた。
若松監督らしい。
五回行くと、一回ただになるサービスカードがもらえる!
「靖国」は、靖国刀の刀鍛治老人の刀作りの過程を追いながら、
8月15日の靖国神社の一日を追いかけたドキュメンタリー。
ちなみに私は靖国神社には参拝したことがない。
刀鍛治の老人が作っている靖国刀は、大陸で多くの血を吸った
刀に繋がるものかもしれないが、この老人からなんとか、そういう
話を引き出そうとしているインタビュアー(監督?)の意図には
いささか違和感を覚えた。
しかし、コスプレと見まがうような参拝者たちの姿や、排他的な民族
主義者たちのエキセントリックな態度を見ていると、この神社はそういう
方々にとっては特別な意味を持っていると思わざるを得ない。
パフォーマンスをしに来てる人たちも多いように見受けられた。
何百万という戦没者の英霊を真に祀るというのであれば、やはり
分祀したほうが良いと思う。
戦時中のエキセントリックな部分が、8月15日にはあの神社の中で
いつも再現されているのだろうか。
静かに参拝されているご遺族の方たちの気持ちを思うと、気の毒で
ならない。
映画が終わって外にでると、次の回を待っている若者たちが寒空の
中立っていた。
2月14日からは「実録連合赤軍」をレイトショーでやります。
チェ 28才の革命 [映画]
志の高い映画だ。
ソダーバーグはえらい。よくぞこの映画を作った。
主演のベニチア・デル・トロもゲバラにそっくりだ。
ストイックで、ドキュメンタリータッチで、淡々とエピソードを
積み重ねていくのだが、驚くべき困難な状況の中、革命を
成し遂げていく有様が、従軍記者になったかのように観客
に伝わってくる。
若干複雑な構成だが、第2部「39才の別れ」と合わせて見たい。
「モータサイクルダイアリーズ」も見ると、なぜ革命を志したかが
よくわかる。
しかもそれを実際に成し遂げたゲバラは凄い。
民衆のために戦った、真の革命戦士の誇りと困難に立ち向かう
人間の勇気を余すことなく描き、決して偶像化することなく、
誠実で無私で誇り高い人間、等身大のゲバラがそこにいた。
ソダーバーグは語る。
「物質的な豊かさだけを中心に据えた社会を続けるためには、
搾取される人たちが必要になる。空虚さを感じない社会を作る
には、成功とは何か、豊かさとは何かを再定義しなきゃいけない」
今のままでよいのか。いいわけないだろう。では何をなすべきか。
覚悟、決意・・・・・・。
様々なことを考えさせられた。
エルネスト・"チェ"・ゲバラ
ストーンズ現役宣言! [映画]
スコセッシがストーンズのライブを撮った、となれば見に行かずば
なんとしよう。
1988年3月、ミック・ジャガーの東京ドーム単独公演、そして90年2月、
95年3月のローリングストーンズ公演を見て来たが、ドームというあまりにも
大きな空間で、いま同じ場所ににストーンズがいるという高揚感は味わえた
ものの、いかんせん遠く離れたステージを眺めるばかりだった。
そして、だんだんライブ会場からも足が遠のいた今日この頃、
(この前はSMAPのナゴヤドームコンサートのチケットを熱狂的
ファンの同僚に取ってもらい、後学のために行ってみようとした
矢先に、急な仕事で行けなかった;残念)
久々にスクリーンではあったが、熱いライブを見ることができた。
カメラは、寄る、寄る!クレーンやハンディカムかなんか知らんが
ミックやキースが、もう目の前にいるような臨場感。
2,000人くらいのホールだからといって、ストーンズは変わらない。
曲順がぎりぎりまで決まらず(決めず?)舞台監督はとりまとめに
ため息をつき、スコッセッシはいらだち、(たぶんステージスタッフと
映画のスタッフの調整は大変だったろう)、そして、1曲目が始まる!
後は、ストーンズのステージを約2時間堪能した。
とにかく、カッコよかった!
途中からカメラがどこから撮っているのかに興味を惹かれて
しまったのは、スタッフとしての私の性なのでしょう。
キースや、ロン・ウッドやチャーリー・ワッツのしぐさ一つ一つが
絵になるし、決まっている。
そして、ミックは歌を作り、歌い、踊り、ギター、ハーモニカ、ピアノ
なんでも来いのスーパースターなのだと実感。
一曲ずつ、観衆にありがとう、と言っていたのも印象深かった。
ストーンズは永遠に転がり続ける。ちっとも古くならない。
そして、今日はジョン・レノンの命日だ。
合掌!
靖国 [映画]
渋谷・東急百貨店本店横シネ・アミューズで上映中。
9日までだと聞いていたので、時間が空いた時に急いで行ったら
満員で入れませんでした。
しかし23日まで上映期間が延長されたそうなので、ぜひ見たいと思っています。
実録・連合赤軍 ~あさま山荘への道程(みち)~ 初日 [映画]
打合せが急になくなったので、急いでテアトル新宿へ。
11:30からの初日1回目に間に合った。
劇場は大勢の人で埋め尽くされていた。映画と同世代の人たち、そして
出演者と同世代の人たち。年齢層は様々だ。
監督ももちろんロビーにいらっしゃったので、挨拶する。
階段に列を作って、たくさんのお客さんを並ばせたい、とおっしゃって
いたので、喜んでおられたと思う。
開場と同時に、場内に入ると1960年代(末)の学生運動の実写ビデオが
当時の音声と共に流されていた。
その頃の自分は、小学校高学年。
映像を見ながら、当時のかすかな記憶を辿り、本編を待った。
そして、本編が始まった。
3時間10分。
重くて、悲しくて、憐れで、切なくて、痛くて、腹が立って、くやしくて・・・・・・
様々な感情が湧き上がり、息つく暇もなく最後までスクリーンに引き寄せられた。
学生や活動家内部からの「あさま山荘」事件を、現実に即して描ききった傑作だ。
映画は、連合赤軍を讃えるでもなく、責めるでもなく、事実を積み重ねていく。
まさに「実録」の映画だった。
よくぞ、この映画を作ってくれた。ありがとうございます。と舞台挨拶のあとに
初老の観客の一人が、涙声で監督や出演者に言った。
私は「あさま山荘」事件当時は中学2年生。やはりテレビで中継を見ていた。
そのときの衝撃、やあの時代の激しさ、熱さは、今でも忘れることができない。
いい、悪いではなく、事実を語りたかった。そう、監督もおっしゃっていた。
映画館をあとにして街に出ると、土曜日の昼下がりの新宿を大勢の若者
たちが、幸せそうに歩いていた。
この映画は、現代の若者たちに、是非見てほしい。
いよいよ公開!「実録・連合赤軍ーあさま山荘への道程」 [映画]
祝・第58回ベルリン国際映画祭「国際芸術映画評論連盟賞」「最優秀アジア映画賞」
ダブル受賞。
東京国際映画祭「日本映画・ある視点」作品賞受賞。
あの浅間山荘事件を舞台に、革命戦士を志した若者たちが事件を引き起こすまでの
過程を、鬼才・若松孝二監督が鮮烈に描き出す。
3月15日11:30 テアトル新宿にていよいよ公開される。
昨日偶然、ある Bar でご一緒した。
公開を直前に控えて、意気が上がり、熱いお話を聞かせていただいた。
この映画に賭ける思いが、ストレートに伝わってきた。
飲んだ後に、映画館の脇を通ったら真新しい看板が掲げてあった。
ニコラ・フィリベールのまなざし [映画]
「すべての些細な事柄」
フランスのあるところにある開放的な「施設」の人々を描いたドキュメンタリー。
出てくる人は、誰が施設に入っている人なのか、医者なのか、関係者なのか
わからない。
カメラは、全員が参加する芝居作り、そして本番を迎える様子をじっと優しく
ありのままを写していく。
みんな大きな家族の一員のようだ。
ゆっくりと静に流れていく時間。
何で、カメラを回しているの?
あなたたちはそちら側で何を見ているの?
そう問われているような気がしてきた。
銀座テアトルシネマ 2/15まで。
(上映作品は日替わりです。ご確認下さい)
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [映画]
我らが若松孝二監督最新作。
2008年春、テアトル新宿・テアトル梅田他にて公開決定!
2007年11月17日(土)24時~ 12月15日(土)24時~ 2008年1月5日(土)24時~
2008年2月9日(土)24時~ テアトル新宿にて公開前オールナイトイベント開催。
内容:ライブ、トークショー、若松監督レトロスペクティブ上映、連赤メイキング上映など。
昨日発売の週刊文春で立花隆氏が「事実に基づいた迫力がある」と、この映画のことを
ほめていた。
製作開始のときから、今か今かと完成を待ち望んでいた映画だ。
皆さん見てください!
ミス・ポター [映画]
可愛いうさぎピーター・ラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターのお話。
厳格な母と優しい父に弟と一緒に育てられた、上流階級のお嬢さんポターは
空想好きで、幼い頃からいつも絵を描いていた。
いつしか、自分の描いたキャラクターたちを世に出したいと考え、ポターは出版社に
自分の絵を持ち込むが、時はビクトリア朝時代(19世紀後半)、女性の地位はまだまだ
低く、社会に出ることなどもまだ白い目で見られていた。
そこへ助け舟を出すのが出版社の三男坊。この仕事が初めてということで、ポターは
不安だが、やがて彼の熱意と暖かさに導かれ、やがてベストセラー作家になる。
しかし・・・・・・(後はよかったら見てください;笑)
時代背景もさらりと描かれ、衣裳も素晴らしい。主演のゼルウィガーは、無垢だけども芯の
強いポターをさりげなく演じている。周りもさすがの演技派をそろえていた。
そう、さりげないところがこの映画のいいところだ。そして、「理解(わかりあえる)」という
ことが、この映画のテーマだったように思う。肉親、友達、仕事・・・いろんなシーンでよき理解者
と出会えることの幸せ。喜びが描かれていた。
そして、もちろんのこと動物たちが生まれるきっかけとなった、イングランドの湖水地方の風景の
素晴らしさ。
この2~3ヶ月、走りづめでちょっと一息つけましたので、映画を久々映画館に見に行きました。
いろんな意味で癒されました。
ヤング・ゼネレーション(1980公開) [映画]
先日WOWOWで放映。録画していたものをようやく観た。
学生時代に見て、心に残っていた作品。
田舎町(インディアナ州ブルーミントン)の高校を出たばかりの若者たちが主人公。
石切り場で働く労働者の息子たちは、「カッターズ」と呼ばれ、地元で育っているのに
ブルーミントンにある大学に通うお坊ちゃん、お嬢ちゃんたちと接することはない。
その中の一人(デニス・クリストファー)は自転車レースに夢中で、好きなチーム「チンザノ」に
身も心も捧げ、イタリア人になりきっている。そして仲間たちと石切り場の跡地にできた大きな
池に集まり、将来の夢や不安を語り合う。
大学のお嬢ちゃんとの恋や、お坊ちゃんたちとのぶつかり合い、自転車の挫折、やさしい母、
なかなか分かり合えない父、や兄との葛藤、そして、最後の自転車レース。
久しぶりに見たが、じんわり感動した。
あった、あったよな、こういう映画。
公開当時この若者たちと同じような年齢だったのが、いつのまにかお父さんの年齢になって
しまっていた。
日本ではヒットしなかったそうだが、いい映画です。